量産型海中・海底ステーションの構築

開発テーマ概要

現在の自律型無人潜水機(AUV)を活用した測深データ収集では、AUVが定期的に母船に戻ってくるため、母船はデータ収集が完了するまでその海域にとどまる必要がある。データ回収や給電のためのスポットをその海域に切り離すことができれば、その必要がなくなり、データ収集を加速させられる。チームでは、海底と海中にハブとなるステーションを設置し、そこでデータ収集とAUVの給電を行うというプランを策定した。母船は観測スポットにステーションを設置してくるだけで、自律的にデータが集められる。
ステーションの建造には、圧縮強度の強さやコスト、劣化性、リサイクルの観点などから、海中建造物の素材としてコンクリートが適しているという仮説を立て、3Dプリンタを用いたコンクリート建造物製造技術の開発と実証を目標として掲げている。
具体的に開発を目指すのは、3次元モデルデータから鉄筋やコンクリートの造形が可能な一連のシステムだ。さらに、それを海中・海底ステーションとして機能させるため、耐圧樹脂を利用した各種電子機器の防水化、AUVとのドッキング機構、新規のコイルアンテナによる通信と組み合わせ、実海域での検証を行うことを狙う。将来的には、これらの技術による安価な海中・海底ステーションを各海域に設置することで、準リアルタイム測定による地震観測網の整備、精細な海底地形の作成および生物生態の観測、新たな海中空間利用の拠点化に役立てようと考えている。

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